カナダで生まれたR-2000住宅の世界一厳しい断熱・気密基準

カナダは札幌より北に位置する寒い国。しかし、木材などの天然資源が豊富で、日本に対しては輸入よりも輸出が多く、それだけ日本に対しては大変に友好なハートを持った国。治安もよく、日本人の旅行者にとってはもっとも良い印象に残る美しい国です。
そのカナダが今から15年前、カナダの家庭で使っている年間暖房費を1/4にするという国家プロジェクトとして「R-2000住宅」を開発しました。そして、その技術を友好国の日本に無償で提供。
受け皿になったのが日本ツーバイフォー協会。1991年より建設大臣認定制度を発足させました。そして、カナダの技術を研究したら驚くことばかり。まず断熱性能が日本の数倍も高い。そして、気密性能にいたっては、それまで世界で最高とされてきたスウェーデンの基準の2倍の性能。相当隙間面積で言うならば 、2平方センチだったものが、1平方センチ以下。40坪の住宅でいうならば、全部の隙間を集めても10センチ角以上あってはならないという厳しさ。しかも、その数値を完成時に全戸テストして、消費者に対して保証するというきわめつけの条件付き住宅。
このR-2000住宅が、消費者に性能を保証した世界で最初の住宅。

これだけの厳しい条件が付いていたため、日本でコンスタントにR-2000住宅の性能を提供出来た会社は、全国でたった3社しかありませんでした。そして、建設大臣認定制度がなくなった2001年に、協会はR-2000住宅認定制度を放棄してしまいました。
しかし、当社は、今でもこの世界一厳しい条件を厳守しています。


[1991年9月。カナダトロントで開催された
第1回日加R-2000住宅会議に出席した
最前列左端が当社山口社長]
日本の次世代省エネ基準とR-2000住宅の性能比較

日本に最初に省エネ基準が設けられたのが1980年。これを旧基準と呼んでいます。これが1992年に改定されて新基準と呼んでいましたが、1999年に次世代基準が発表されました。この次世代基準が、現在の日本の断熱・気密の基準となっています。
それでは、次世代基準とR-2000住宅の基準は、どれほど違っているのでしょうか。これについては、東京大学の坂本雄三先生が作られたグラフが非常に分りやすく説明してくれます。

前橋は、省エネ区域では仙台と同じIII地域に分類されます。このIII地域の旧基準による熱損失係数は4.5Kcal程度でした。これが新基準で2.8Kcalとなり、次世代では2.1Kcalと大きく改善されてきました。プレハブなどほとんどのメーカーはこの基準に準じています。
これに対してR-2000住宅は1.2Kcalと、約2倍の性能を求めています。
このグラフを見ると、R-2000住宅の性能が如何に高いかということが実感出来ます。そして、当社はR-2000住宅認定制度がなくなった今でも、一貫してこの数値を守っています。
ちょっと専門的になりますが、最近では熱損失係数をKcalではなくWで表現致します。1W=0.86Kcalですから、1.2Kcalは1.4Wとなります。

当社の床、壁、開口部、屋根、天井の断熱施工

住宅全体の熱の損失係数(これをQ値といいます)は1.4W/m2ということは分かりました。しかし、床、壁、開口部、屋根、天井ごとの断熱性能(これをK値、熱貫流率といいます)がはっきりしていないと、全体の熱損失係数も分かりません。
床や壁など部位別にどれだけの性能(K値)を求めているかを比較します。




(断熱部分)        
内表
     
0.15
フロアー
 
0.018÷0.16
=
0.113
下地合板
 
0.015÷0.16
=
0.094
ネオマフォーム
 
0.065÷0.02
=
3.25
外表
     
0.15

計   
=
3.757
3.757×0.9=3.3813
 
(根太部分)        
内表
     
0.15
フロアー
 
0.018÷0.16
=
0.113
下地合板
 
0.015÷0.16
=
0.094
根太
 
0.140 ÷0.12
=
1.167
外表
     
0.15

計   
=
1.674
1.674×0.1=0.1674
 
1
――――――
(3.3813 + 0.1674)
=0.28W

床や壁などの熱貫流率(K値)の計算方法 (関心のない方は飛ばして下さい)

熱貫流率の計算は、断熱材の部分と床 根太の部分を分けて計算します。
まず、断熱材の部分の使用材料の厚み(m)をそれぞれの熱伝導率(左の表の熱伝導率はW)で割ります。フロアー、下地合板、断熱材の数値をプラスして、これに所定の内表および外表の数値を足しますと3.757という数値になります。床面積のうち、この断熱部分の面積が約90%なので、0.9を掛けると3.3813。
そして、残り10%の面積の根太部分も同様に計算すると0.1674になります。この二つの数値を足した逆数が熱貫流率。
左の例では0.28Wとなります。

このような計算を、床、壁、開口部、屋根、天井の全ての部位で行って、性能を表示します。

次世代省エネ基準の中で、納得出来ない気密性能基準

省エネ基準は (1)断熱性能と(2)気密性能から出来ています。
見てきましたように、日本の省エネ基準は、断熱性能という面ではR-2000住宅には及ばないまでも、かなり改善されてきています。
ところが、気密性能という面では、世界的にみてどうしても納得出来ない基準となっています。
カナダのR-2000住宅とスウェーデンの戸建ての住宅の気密の基準は、以下のようになっています。

  カナダR-2000住宅    1.5回/50pa
  スウェーデン戸建住宅  3.0回/50pa

この50paというのは、50パスカルのことで、風速に換算すると25m/秒という強風時の気圧差が家の内外にある時、家の中の空気が何回入れ代わるかを測定して、気密性能を測定するという世界的な基準です。

50paの気圧差は、外壁の中に透明な管を通し、水を入れて測定すると家の内外では水位が5mm違うという状態。この気圧差を人工的に作って空気の洩気回数を測定します。当社の気密測定は、この世界基準に準じています。そして、いずれもカナダのR-2000住宅の1.5回という洩気回数をはるかに上回っています。

ところが、日本では50paではなく、10paの小型の機械で測定してきました。10paの圧力差の時、床平方メートル当り何平方センチの隙間があるかという測定法。
今までの住宅は隙間だらけで、とても30paとか50paの圧力差を生じさせることが出来ませんでした。それで10paという低い圧力差で測定していたのです。

さて、世界的な洩気回数と日本の相当隙間面積との関係は、どうなっているのでしようか。
R-2000住宅が求めている1.5回という洩気回数を相当隙間面積に換算すると0.9平方センチということになります。スウェーデンの3.0回は、約2.0平方センチです。

こうした世界的な基準と北海道の基準が勘案されて、次世代省エネ基準では北海道のI地域と盛岡などのII地域の気密性能は2.0平方センチと決められました。妥当な数値だと言っていいと思います。
ところが、前橋・仙台以南の地域の気密性能が、なんと世界の常識では考えられない5.0平方センチという数値に決められました。これには、大手メーカーや在来の大工さんから反対があったとか、学会の古い一部が徹底的に抵抗したためだなどと言われていますが、真相は分かりません。
いずれにしろ、床1平方メートル当り5平方センチの隙間があるということは、45坪、150平方メートルの住宅で、19センチ角の大きな穴が2つ開いていてもいいということなのです。誰が考えても19センチ角の穴が2つ開いていると、スースーして暖かく無い家だということが分かります。


このため、マイスターハウスでは、残念ながら日本の次世代基準を無視して、今までどおりカナダの厳しいR-2000住宅の基準に準じています。そして、全戸完成時に気密テストを行っています。




全戸気密テストを行っている当社の自慢出来る実測データー

ラジオのスポットでもお馴染みのように、当社では「全戸気密テスト」を行っています。
測定方法は、すでに見てきたとおりの国際的な50paの減圧方式で、世界的な洩気回数と日本式の相当隙間面積の両方で表示しています。

測定日
邸名
場所
実質延床面積
2005/08/29
S氏邸
前橋市
174.04m2
容積
確定通気率
総隙間相当面積
隙間相当面積
456.52m3
45.16m3/h9.8pa
31.16cm2/建物全体
0.17cm2/床1m2
確定流量 漏気回数  
140.53m3/h・50pa 0.30回/h・50pa  

日本の次世代の気密基準が5平方センチに対して、当社の平均は0.20センチと約20倍の性能をもっています。
150平方メートルの家だと5平方センチの家は19センチ角の穴が2つ開いている勘定になると書きましたが、当社の平均ですと全部の隙間を集めても5.0センチ角の穴1つにしかなりません。
このように全部の隙間を集めても6センチ角を切っている住宅というのは「隙間はサッシなどの開口部だけで、床、壁、天井、屋根面には全く隙間が無いと言っても良い住宅だ」ということが出来ます。
これこそが、躯体に結露が生じない、長寿住宅の証明です。

気密性能は現場のあらゆる技術の集大成

断熱性能というのは、極言すれば誰にでも出せます。例えば、床下に熱伝導率0.038Wの100ミリ厚のポリスチレンフォームを採用すると決めれば、床の熱貫流率(K値)は自動的に0.34Wと決ります。当社のように防火性のある新しい熱伝導率0.02という優れた65ミリ厚のネオマフォームを採用すれば、K値は自動的に0.28Wとなります。
つまり、断熱性能は何を使うか、つまり仕様をどうするかで勝負が決ります。そして、大工さんが断熱材を入れ忘れない限り、仕様通りの性能が担保されると考えて間違いありません。

これに対して、気密性能は、如何に使う材料を吟味し、優れた仕様のサッシなどを使ったにしても、電気屋さんがうっかり壁に穴を開けたままコーキングしなかったり、水道屋さんが配管の処理を間違えたりすれば、それだけで性能がガクンと落ちます。気密性能は、断熱性能のように仕様では決らないのです。全部の職人が、間違いのない、完全な仕事をやらないかぎり得られません。
カナダのR-2000住宅が「全戸気密検査をやらないかぎり気密性能は担保されない」と言ったのは、間違いなく真実です。そして、日本の多くのツーバイフォー業者が、コンスタントに0.9センチ以下という相当隙間面積が出せなかったので、残念ながらR-2000住宅から脱落してゆきました。最後まで残ったのが3社にすぎなかったということは「気密性能さえ担保出来れば、現場のあらゆる性能は担保出来る」といっても過言でないほど難しいことなのです。
 
気密性能に、現場の難しさと技術と技能が集約されています。

「そんな難しいことを、よくマイスターハウスは鼻歌まじりでやっている」とよく言われます。
当社の住宅は、一つ残らずR-2000住宅の性能を持っています。当社で造っている住宅の30%がR-2000住宅の性能で、残りが低い性能のものであれば、うっかり間違えて大工さんやボード屋さんが低い性能の技法をとらないとも限りません。しかし、100%がR-2000住宅仕様であり、社長自らが毎日現場をチェックしていますから、間違いようがありません。
全戸をテストしていますと、職人も監督も、おおよその勘で「この住宅の気密性能はこの程度だ」ということが分かります。仕事が悪いとすぐテストで数値が出てくるので、常に細心の配慮が働きます。

そして、強調したいのは気密性能に対する細心の配慮が、他の全ての工事に波及するということです。耐震性にしても防火性、耐久性にしてもそうです。単に仕様だけでなく、心遣いで性能がより担保されます。そして、どんなに難しいことでも「やればできる」というトライする勇気を与えてくれます。

マイスターハウスは「現場に全ての技術が集大成される」と考えます。そして、どこまでも「全戸気密テスト」を掲げて、今後ともトライと邁進を続けます。

省エネの弱点は開口部。全てのガラスに遮熱ガラスを採用

住宅の中で「熱が逃げる一番弱い部分」はサッシなどの開口部です。

0.31W
0.28W
屋根
0.24W
開口部
2.0W

当社の部位別のK値(熱貫流率)を見ても、うなずけます。
このように、桁が一桁違います。
極論すれば、一番熱効率の良い住宅は「開口部のない住宅」ということになります。こんな住宅はありません。やはり景色を楽しみたいし、太陽の殺菌効果や穏やかな暖かさも堪能しなければなりません。

しかし、カナダやスウェーデンのような夏の短い寒冷地だと、太陽は常に味方です。少しでも太陽の光を取り入れないと、ビタミンDの採取という面からもいけません。そして、部屋の中の暖気が出来るだけ外へ逃げないように、特殊な金属粉を塗布したLow-Eガラスとかトリプルガラスを採用しています。これは非常に賢い選択です。

しかし、北関東では夏の「内陸の猛暑」のことも考えねばなりません。トリプルガラスの家は、夏はたまったものではありません。外側にスダレでもかけないと、とくに残暑がたまりません。

このため、当社ではトリプルガラスと同じ性能を持った遮熱複層ガラスを標準採用しました。K値は2.0Wで、最高値を示しています。
このほかに、日射熱のカット率が60%で、真夏の西日も大幅にやわらげてくれます。そして、紫外線にいたっては82%もカットしてくれます。このため、カーテンなどや床材の日焼けが防げ、非常に重宝がられています。

マイスターハウスの暖房費の実測例

期間
日数
室温
水温
運転
時間
セーブ
運転
灯油
使用量
1日
あたり
灯油
1日
あたり
金額
11/11〜12/02
22日間
20〜22度
50度…セーブ時25度
24時間
0:00〜6:00
88L
4L
160円
5000円程度
12/03〜12/16
14日間
20〜22度
50度…セーブ時30度
24時間
0:00〜6:00
8:00〜16:00
82L
5.8L
234円
7000円程度
12/17〜1/6
21日間
20〜22度
60度…セーブ時30度
24時間
8:00〜15:00
0:00〜6:00
130L
6.1L
238円
7400円程度
1/7〜1/20
14日間
20〜22度
60度…セーブ時30度
24時間
9:00〜14:00
0:00〜4:00
77L
5.5L
220円
6600円程度
1/21〜2/2
12日間
20〜22度
60度…セーブ時40度
24時間
9:00〜14:00
0:00〜4:00
98L
8.1L
324円
9720円程度
2/3〜2/17
14日間
20〜22度
60度…セーブ時40度
24時間
9:00〜14:00
0:00〜4:00
111L
7.9L
317円
9514円程度
2/18〜3/3
15日間
20〜22度
60度
24時間
 
114L
7.6L
304円
9120円程度
3/4〜3/16
13日間
20〜22度
55度…セーブ時50度
24時間
9:00〜14:00
0:00〜4:00
89L
7.7L
310円
9320円程度