阪神と新潟中越地震で立証されたツーバィフォー工法の耐震性

(A)倒壊率50%地域での全半壊と一部損傷率(建材産業協会・神戸大学)

(B)震度7地区で公庫融資物件の大破・倒壊率(住宅金融公庫)

先ず、(A)図を見てください。これは、倒壊率50%地域でのデーターです。もっとも被害が大きかったのは、誰もが知っているとおり古い在来木造です。しかし、それ以上に衝撃を与えたのは鉄骨造の弱さ。なんと22.2%も全半壊しています。鉄骨造がもっとも地震に強いと言われてきた神話が、完全に崩壊してしまったのです。
さらに、(B)図を見て下さい。これは被害がもっとも大きかった震度7地区での住宅金融公庫の融資物件の被害を調べたものです。(A)の倒壊率50%地域で43%の在来木造が全半壊しているのに、震度7地区での公庫融資の在来木造の倒壊は8.7%に過ぎません。そして、昭和56年の新耐震基準を守った在来木造の倒壊率はたった2.1%だったのです。
そして、誰もが再認識したのは、ツーバィフォー工法の耐震性でした。(A)地域でも震度7の(B)地区でも、ツーバィフォーの倒壊はありません。
子供の時、買ってもらった虫カゴは簡単に潰れました。しかし、厚い合板や石膏ボードの面材で立体的な箱をつくるツーバイフォー工法は、マッチ箱が簡単に潰れないのと同じことで、ペシャンとなりません。
しかし、ツーバィフォーが無傷であったかというと、そうではありません。間口2.5間と狭い住宅で、耐力壁の配置が不十分な何軒かの住宅は、倒壊はしなかったけど、倒壊寸前の状態であったことは間違いありません。

一方、隣の新潟中越地震ではツーバィフォー住宅の被害は、全壊、半壊ともゼロでした。
これは震度6弱の地域は長岡市、栃尾市、魚沼市、南魚沼市と広範囲にわたっていましたが、震度6強を記録したのは豪雪地で有名な小千谷市と十日町市だけでした。この2市に建てられていたツーバィフォー住宅は21棟と少なかった。そして、震度7を記録した川口町にはツーバィフォー住宅は建てられていませんでした。したがって全半壊がゼロというのは当然の結果です。
ここで強調しておかなければならないのは、川口町役場の震度計が阪神淡路の850ガルのなんと3倍の2500ガルというとてつもない加速速度を記録していたこと。このため最低4寸から5寸という太い柱を使っている町役場周辺の住宅でも倒壊率は40%近くに及んでいました。
ところが、倒壊率が90%という信じられない烈震地が田麦山、和南津、武道窪にありました。おそらく3000ガルを越えたのではないかと推測される直下型烈震で、引違いサッシの重いペアガラス建具が枠から外れて転落していたり、エコキュートの脚部が折れて転倒したり、ホールダン金物が千切れるという考えられない被害が出ていました。

この惨状をつぶさに調査した当社では、単に品確法の耐震等級2を守るという消極的な姿勢ではなく、次のような積極的な対策を用意しています。

(1) 川口町でも強固なベタ基礎の被害は皆無に近かった。より一体構造の堅牢なベタ基礎を採用。
(2) 引違いサッシの採用は出来るだけ控え、原則として上げ下げ、外開き、FIXなどを採用。
(3) 外壁は集中荷重のかからない一体構造とし、要所には強固なホールダン金物を入れる。
(4) 家具の倒壊防止のため、引っ越し時に指導とサービスを強化。

鉄筋入り20センチ厚の一体化したベタ基礎で、不同沈下を回避

群馬、埼玉、栃木の平地は、いずれもかつては利根川や渡良瀬川の河川敷きだったと言われております。関東ローム層の洪積台地と沖積平野から成り立ち、ほとんどの地盤のN値が3以下と言う悪い条件下にあります。
本来ですと、スウェーデン三点方式による地盤調査と、調査結果にもとずく地盤改良工事を行うのですが、県の公社住宅にしたところで地盤改良は行っていません。これは、手を抜いていると言うことではなく、有効な地盤改良方策がないというのが実情。

地盤が不安定で困るのは不同沈下が起こることです。ある部分だけ沈下したのでは、家が傾いてしまいます。
これを防ぐために、当社は鉄筋入りの20センチ厚のベタ基礎を標準仕様として採用しています。厚い大きな皿を大地に伏せたような状態で、面として住宅の荷重を分散伝達します。
つまり、ベタ基礎はプラットフォーム(盤)だという考えです。一枚板の盤が地震などの水平荷重に対しても効果を発揮してくれます。


[ベタ基礎断面詳細図]

[ベタ基礎配筋]

[型枠をばらした基礎全体写真]

ホールダウン金物は地震から住宅を守るシートベルト

高速道路を時速100キロで走っている時、急ブレーキをかけたとします。もしシートベルトを締めていなかったら、腰が浮き、頭をフロントガラスにぶつけることになります。
阪神大震災は、シートベルトのない住宅が多く、ほとんどがフロントガラスを破り、即死した状態でした。

上図の(1)ように、左から右へ強い揺れがあったとします。家の右端には強い浮き上がりの力が加わります。自動車の急ブレーキで腰が浮くのと同じ原理。そして、金物というシートベルトがないと土台から柱がすっぽり抜けます。そして(2)の反対側に揺れが来た時、通し柱が二階の胴差しの部分で折れ、あっという間に一階がペシャンと潰れてしまいました。これが阪神大震災の古い住宅の代表的な倒壊の形です。

[ホールダン金物の施工例]
[壁に固定された姿]

[ベタ基礎に飛び出ているホールダウン]

つまり、ホールダウン金物は、基礎と壁を結ぶシートベルトだということです。どこから揺れが来ても、腰が浮き上がらないように、最低4カ所を固定しています。

ヒバの土台と銅メッシユを使った化学薬品を使わぬ防蟻処理

土台や大引きには、北米をはじめ日本でも米ツガの繊維に、工場で薬品を加圧注入したCCA材の使用が一般的です。この防蟻処理されたCCA材は、現場で加工しても、ほとんど身体に影響がないと言われています。
それなのに、当社ではあえてヒバ材の採用を決めました。

ご案内の通り、ヒバは湿気や蟻に強く「腐らない木」として、永年日本人の信用を得ています。住宅金融公庫の仕様書でも、ヒバの有効性をはっきり認めています。
そして、外壁の合板にからむ部分に銅のメッシュを施工し、シロアリが壁内に侵入しないようにしています。つまり、化学薬品の使用を少しでも減らし、より健康な住宅造りを目指しています。


[銅メッシュの施工写真]

[外壁に406のヒバを施工した土台写真]
基礎パッキング方式の全面的な採用

床下に関しては大きく分けて3つの選択肢があります。
1つは土間コン床スラブ方式です。床暖房をする時は、これを用います。

2つは床下を物置きなどの収納空間として使用する方法。山間地で、凍結深度が深いところでは、基礎を1メートル近く掘る必要があります。どうせ掘るなら、床下を半地下室的に使おうという時。この場合は基礎の外周部分で断熱・気密をとります。当社の場合は化学薬品を使っていませんから安心して床下空間が使えます。
3つは、床下を使わない場合。ほとんどがこれですが、今迄は床下換気口を付けていました。
しかし、床下換気口はコンクリートのひびが入りやすく、また数多く換気口を設けないと空気が淀み、特に梅雨時に床下で結露が起こる危険性がありました。
これを解消してくれたのが土台下に入れるパッキング方式で、通風性がことのほかよく、床下結露の懸念がなくなりました。

空っ風の群馬で耐風性を考えて14センチ厚の外壁構材を採用

耐震性は最重要課題です。しかし、ツーバイフォー工法であれば、阪神大震災クラスに対応出来る住宅は、比較的簡単に造れます。北関東では地震もさることながら「雷と空っ風」に対応することが重要です。
風は、外観の面積が大きければ大きいほど、影響を受けます。したがって大きな家であればあるほど、地震よりも耐風性能が問題になってきます。まして、最近は吹抜けや勾配天井のある住宅が多くなってきていますから、外観面積が増大しています。
そこで当社では、外壁はツーバイフォー(2インチ×4インチ)と呼ばれる9センチ厚の壁ではなく、ツーバイシックス(2インチ×6インチ)と呼ばれる14センチ厚のランバー材を標準仕様としています。
耐風などの水平力に対しては、9センチよりも14センチという木材のセイの大きさがものを言います。また、この14センチ厚の壁一杯に断熱材を充填しますので、断熱性能も飛躍的に向上しています。


[204の壁と206の壁の比較]
外壁および屋根通気で結露防止と耐久性の向上

木材は、含水率が25%を越えた時、木材を分解する腐朽菌が活躍します。この腐朽菌は、大変重要な役割を果しています。もし、腐朽菌がいなかったら、台風などで倒れた木々は山を覆い、新芽が育ちません。風倒木を処理して土として自然に還してくれるのが腐朽菌。
この腐朽菌が活躍するための絶対条件が、木材の含水率が25%以上あること。逆に言えば、木材の含水率が25%以下であれば、木材は腐ることがなく、50年も100年も風雪に耐えられます。
木材の含水率が25%を突破するということは  (1)雨漏り (2)結露 のいずれかが原因です。最近は防水技術の向上で、雨漏りの心配がほとんど無くなりました。そして怖いのが結露。

ここで、相対湿度と結露の関係について、簡単に説明します。
まず、湿度には絶対湿度と相対湿度があります。空気中に何kgの水分があるかを示すのが絶対湿度。
これに対して、相対湿度というのは、同じ水分でも温度によって比率が異なってきます。空気は温度が高くなればなるほど、多くの水分を吸収出来ると言う性質を持っています。0℃だと4gしか吸収出来ないのに、20℃だと15g以上も吸収出来ます。その15gを100%として、何gの湿度があるのか。例えば9gだと9/15=60%という風に表現します。
つまり、同じ9gであっても、12℃だと100%近くなるし、30℃だと40%を切ると言うことで、温度によって相対湿度は大きく変化します。そして、私達が乾いているとか湿っていると感じるのは、どこまでもこの相対湿度です。

上の図の赤丸のAを見て下さい。20℃で相対湿度は60%。この空気が冷たい窓ガラスに当たってA'の9℃に冷やされたとします。すると水色の部分の水分は空気中に貯えておくことができず、ガラスの面に汗をかきます。これが結露です。
なお、青丸Bは前橋の1月の平均気温3.3℃、相対湿度55%を示しています。この空気をB'の20℃にすると、なんと相対湿度は20%を切るカラカラ状態。

ガラスの上にかいた汗は、タオルで拭けばとれますが、困るのは壁の中や天井、床の中での結露。拭くことが出来ず、材木に染み、含水率を高めます。25%を越えたら腐り始めます。
これを防ぐには、冬期暖かい湿った空気を壁の中に入れないようにすることです。当社の場合、コンセントやスィッチボックスは防気カバーで覆い、内壁下地の耐火ボードの下一面に防湿層としてのフィルムをきちんと施工。暖かい湿った空気が壁や天井、床に絶対に入り込まないようにしています。
当社は、気密性能に命をかけています。
気密が良いと言うことは、壁や天井、床に隙間が無いということです。つまり、結露がないということです。


[べバーバリアの施工−壁]

[べバーバリアの施工−屋根]

耐火ボードの下に、一面に防湿層を施工することによって、冬期暖かい湿った空気が壁内に入るのは、完全に防止出来ました。問題は夏です。
夏、湿気を含んだ暑い空気が充満しています。しかし、冬期のように室内と室外の温度差が20℃以上もあるという状態はありません。したがって、温度差によって壁内に結露する心配はありませんが、高温多湿の空気が滞留していると、断熱材が汗をかくような状態が生じる心配があります。この心配を一掃してくれるのが外壁と屋根の通気層です。

この通気層は、万が一外壁に浸水することがあったにしても、通気層と透湿防水膜によって、構造本体に影響を与えません。そして、夏の太陽で瓦や壁が高温になっても、裏の空気が流れて棟から排気されるため、断熱材そのものが高温になるということはありません。

内壁下地はホルムアルデヒドを吸収する耐火ボードで防火性抜群

右の図は日米の火災発生率と損害額の比較です。
アメリカでは、床がカーペットだということもあって、人口1万人当り138回もボヤを出しています。30万人都市だと年間4140回もボヤ騒ぎがあるということ。これに対して日本は火災の発生が少なく、その代わり火が出るとボヤで済まず、1件当りの被害額286万円とアメリカの10倍。
これは、アメリカの住宅は全て内装下地に12.5ミリ以上の防火ボードが使われているのに対して、日本ではツーバイフォー工法以外は防火ボードの使用が義務づけされていないから。

阪神大震災は、幸い早朝で、火の使わない時間に発生しました。もし7時を過ぎていたら、想像を絶する被害になっていたでしょう。その点、ロスやシスコの地震は炊事時間でしたが、火災による被害はほとんどありませんでした。
12.5ミリ厚の石膏ボードは火にあたると約30分結晶水を放出して裏面温度を上げません。このため、窓が閉まっていると火が出ても8分以内に酸欠状態になり、自然鎮火します。
つまり、ボードを全面使用していないマンションなどは火が出ると最低1戸は燃えてしまいますが、ツーバイフォーは一部屋だけのボヤで済みます。ツーバイフォー工法が、抜群の防火性を持っているのは耐火ボードの全面使用のため。

そして、当社はこの耐火ボードに、ホルムアルデヒドを吸収し、分解する力を持った「ハイクリーンボード」を全面的に採用しています。これにより、新築時のホルムアルデヒド濃度が少なくなりました。